軍用地は、安定した借地料収入だけでなく、相続税の評価を抑えられる資産としても注目されています。現金や預貯金で資産を持つ場合との違いを、仕組みからわかりやすくご説明します。
相続税は、亡くなった方が遺した財産の「評価額」に対して課税されます。ここで重要なのは、財産の種類によって評価額の計算方法が異なるという点です。現金や預貯金は額面がそのまま評価額になりますが、土地は「相続税評価額(路線価等)」で評価されるため、一般的に実際の取引価格(時価)よりも低く評価される傾向があります。
つまり、同じ金額を現金で持つよりも土地に換えて持つことで、相続時の評価額を圧縮できる可能性があるということです。軍用地はこの「評価圧縮」が期待できる資産のひとつとして知られています。
軍用地の話では「倍率」という言葉が2つの場面で出てきます。同じ言葉ですが、意味も数字も計算式も別物です。節税の話をするときに混同すると大きな誤解につながるため、最初にここを整理しておきます。
※ 軍用地(貸し付けられている底地)の相続税評価は、上記の倍率方式に加えて借地権割合等の調整が入る場合があり、実務上は複雑です。正確な評価額は必ず税理士にご確認ください。
下記は仕組みを理解いただくための概念的なイメージです。実際の評価額・税額は物件や個々のご事情によって大きく異なります。
| 現金で保有 | 軍用地で保有 | |
|---|---|---|
| 用意した資産 | 3,000万円 | 3,000万円 |
| 相続税評価額(目安) | 3,000万円 | 約 2,000万円前後 ※ |
| 評価圧縮の効果 | なし | 圧縮の可能性あり |
| 保有中の収入 | 利息はごくわずか | 毎年の借地料 |
※ 評価額はあくまでイメージです。実際の評価は路線価・地積・契約内容等により決まります。
相続税対策を目的とした不動産の中には、空室や家賃下落のリスクを抱えるものもあります。軍用地は借り主が国・米軍であるため、保有している間は安定した借地料収入が見込め、「節税」と「収入」を両立しやすい資産です。
アパートやマンションと異なり、軍用地には建物がありません。修繕費・原状回復費・管理手数料といったランニングコストが発生せず、保有の手間が少ないのも特徴です。
相続人が複数いる場合、現物の不動産は分けにくいことがあります。軍用地は比較的小口の物件も流通しており、相続を見据えて複数物件に分けて保有しておくといった対策も取りやすい資産です。
「法改正で軍用地の相続税の優遇がなくなる」と聞いたことがあるかもしれません。これは正確ではありません。
2026年度税制改正で、相続前5年以内に取得した貸付用不動産を時価で評価する見直しが行われ、2027年1月1日以降の相続・贈与に適用されます(不動産小口化商品は取得時期を問わず時価評価)。これは主にタワーマンション等を使った駆け込み・レバレッジ型の節税が対象で、軍用地そのものは名指しされていません。
5年以上保有していれば従来の評価が維持されるため、長期保有を前提とする軍用地の本来の活用法とはむしろ相性がよい改正といえます。ただし軍用地が「貸付用不動産」に含まれるかは施行に向けた政省令・通達の確定待ちの部分があり、最終的な判断は必ず税理士にご確認ください。当社は提携税理士のご紹介が可能です。
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